森林に降った雨が地表面に到達せずに蒸発する現象の研究


森に降る雨の蒸発の研究を2件紹介します。

1)降雨中に森林から大量の水が蒸発するメカニズム(森林総研HP「研究最前線」2006年3 月

森林の樹冠を通過し、地表面に到達する雨の量は裸地よりも2割程度少ない。これは降雨中に雨水の一部が樹冠から蒸発するためで、その量は雨が強いほど多くなることが知られている。今回、観測と計算を用いた解析によって未知であったこの現象について新しいメカニズムを提唱した。すなわち、雨滴が枝葉へ衝突すると半径数10μm以下の水しぶきが大量に発生して蒸発すること、雨が強いほど雨滴の大きさと数は増加し、発生する水しぶきの数と蒸発量も増加することを明らかにした。この成果は今後の森林の水循環に関する研究の進展につながるものと期待される。(村上)
この論文(英文)はこちらのページで見ることができます。

2)遮断蒸発メカニズムのカギを握るのは樹木に付着する雨水だった(森林総研HP「研究最前線」2017年5 月

森林に降った雨の一部は、樹木の枝葉(樹冠)や幹に付着します。さらにその一部は地面へと流下することなく、枝葉や幹から大気へと蒸発していきます。この現象を「遮断蒸発」といいます。遮断蒸発量は降雨の10~30%にも達することが知られており、森林の水源涵養機能を適切に評価する際に重要です。一般に湿度が低く太陽光が強い時に水は盛んに蒸発します。しかし降雨中や降雨後は湿度が高く、また太陽光も森林まで届きにくいことを考えると、これほど多量の遮断蒸発がどのように生じるのか謎に包まれていました。
その謎を解明するためスギ壮齢林を対象として、1時間ごとの遮断量(樹木に付着する水分量)を測りました(写真)。その結果、遮断量は降雨開始直後に高いものの、降雨の継続とともに減少することが明らかとなりました。さらに、降雨前半と後半では降雨量には大差がないものの、遮断蒸発量のほとんどは前半の遮断量であることも分かりました。この結果は、スギの樹冠や幹の降雨貯留量が遮断蒸発のメカニズムを解明する上で重要であることを示唆しています。(飯田)
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